ディスプレイに接続しなくても、Raspberry Pi用Ubuntu MATEのイメージをセットアップし、Raspberry Pi 3で使えるように編集しました。
その編集手順をメモしておきます。
https://tiryoh.com/blog/archives/1308
背景
Ubuntu CoreがRaspberry Pi 3できちんと動くようですが、Ubuntu SSOアカウントが必要です。(https://developer.ubuntu.com/core/get-started/raspberry-pi-2-3)
また、Ubuntu WikiでRaspberry Pi 3用のイメージファイルが公開されていますが、そのままではapt upgrade
コマンドで起動しなくなってしまったりと扱いにくい状態[1]Ubuntu Wikiで配布されているイメージファイルは/boot/config.txt
を編集することで問題なくアップデートできるそうです。
詳細はこちら。なのでUbuntu MATEのイメージファイルを編集し、公開しています。
公開後、しばらくは問題なく扱えていました。以下の方法でのデバイスドライバの開発も問題なく行えていました。
2017年2月17日に、アップデートが発表されました。
https://ubuntu-mate.org/blog/ubuntu-mate-xenial-point-2-raspberry-pi/
個人的に大きな変化だと思っているのは
- カーネルのアップデート(4.1.19-v7+ -> 4.4.38-v7+)
- raspi-config の追加(今までは手動でのインストールが必要)
- SSHサーバがデフォルトではオフ(今まではデフォルトでオン)
- 初回起動時はWiFiが有効にならない(https://bugs.launchpad.net/bugs/1572956)
以上4点です。
このアップデートにより、以前のイメージ作成方法で作成したイメージは、カーネルのヘッダが実際のカーネルのバージョンと一致しなくなってしまいました。
(apt-getでインストールせず、debパッケージをダウンロードしてインストールしたためです。)
そこで、再度Ubuntu MATEのイメージを編集し、書き込み後そのまま使用できる状態にします。
手順
- 公式サイトからUbuntu MATEのイメージファイルをダウンロード
- Raspberry Piで初期設定
- イメージファイルをバックアップ
- バックアップしたイメージファイルの編集
- 編集したイメージファイルの圧縮
以上の手順でイメージファイルの作成をします。
作成したイメージファイルはこのエントリの最後で公開しています。
イメージファイルの準備と書き込み
Ubuntu MATEのイメージファイルをダウンロードし、microSDに書き込みます。
まずは、ダウンロードしてきます。ブラウザでUbuntu MATEのサイトから、または以下のコマンドでダウンロードします。
cd ~/Downloads wget https://ubuntu-mate.org/raspberry-pi/ubuntu-mate-16.04.2-desktop-armhf-raspberry-pi.img.xz
Ubuntu
書き込む前に、/dev/mmcblk*
として認識されているディスクがないことを確認します。
ls /dev/mmcblk*
ここで、ls: /dev/mmcblk* にアクセスできません: そのようなファイルやディレクトリはありません
と返ってくることを確認してください。
UbuntuでmicroSDに書き込む際は以下のコマンドで書き込みできます。
sudo umount /dev/mmcblk0 xzcat ubuntu-mate-16.04.2-desktop-armhf-raspberry-pi.img.xz | sudo dd of=/dev/mmcblk0 bs=1M
書き込みが終わったら、microSDの準備完了です。
macOS/OS X
macOSの場合はddコマンドのオプションが異なります。
microSDを指す前と指す後で2回以下のコマンドを実行します。
diskutil list
/dev/disk2 (external, physical)が増えており、これがmicroSDであることがわかります。
ここで違うdiskを選択すると、最悪の場合OSが起動しなくなる場合があります。
diskutil umountDisk /dev/disk2 xzcat ubuntu-mate-16.04.2-desktop-armhf-raspberry-pi.img.xz | sudo dd of=/dev/rdisk2 bs=1m
ここで、ofに/dev/disk2ではなく、/dev/rdisk2を指定します。
rdiskはdiskと違い、アンバッファモードなのでバッファモードより書き込みが数倍速いです。
時間がかかりますが、Ctrl+Tできちんと動いている確認できます。
Raspbianのイメージ書き込みの場合はconv=sync
オプションが必須なようですが、逆にこのイメージではこのオプションをつけると書き込みがうまくいきません。
書き込みが終わったら、EjectしてmicroSDの準備完了です。
diskutil eject /dev/disk2
Raspberry Piのセットアップ
GUIでの設定が必須ですので、Raspberry Pi 3にモニタとキーボード、マウスを接続します。
設定に関してはこちらのサイトが大変丁寧にまとまっていましたので紹介しておきます。
第48回「ラズベリーパイにUbuntu MATEをインストール!」 | Device Plus – デバプラhttp://deviceplus.jp/hobby/raspberrypi_entry_048/
初期設定後、Terminalを起動します。Ctrl+Alt+Tで起動します。
まずは自動アップデートを無効にします。
sudo systemctl disable apt-daily.service sudo systemctl disable apt-daily.timer
aptのパッケージリストを更新してアップグレードしておきます。少々時間がかかります。
sudo apt update sudo apt upgrade
よく使うパッケージでまだインストールされていない、gitをインストールしておきます。
curl、wget、raspi-configなどはすでにインストールされているようです。
sudo apt install git
デバイスドライバのビルドの際に必要なカーネルのソースをダウンロード・インストールしておきます。
sudo apt install dkms raspberrypi-kernel-headers
net.ifnames=0
を/boot/cmdline.txt
に書き加えます。これを書き換えることによって有線LANがeth0として認識されるようになります。
/etc/udev/rules.d/70-persistent-net.rules
ではなく、/lib/udev/rules.d/80-net-setup-link.rules
によってeth0が認識されているのでこのイメージを書き込んだmicroSDはどのRaspberry Piに差しても起動させることができます。
(/etc/udev/rules.d/70-persistent-net.rules
で認識させている場合、MACアドレスでethの番号が決まります。初回起動時とは異なるRaspberry Piに接続するとeth0ではなく、eth1やeth2として認識されます。)
sudo vi /boot/cmdline.txt
書き換え後は以下のようになります。
ubuntu@ubuntu:~$ cat /boot/cmdline.txt net.ifnames=0 dwc_otg.lpm_enable=0 console=tty1 console=serial0,115200 root=/dev/mmcblk0p2 rootfstype=ext4 elevator=deadline rootwait quiet splash
ここまでの作業が完了したら再起動し、再びきちんと起動することを確認しておいてください。
Raspberry Piを何かに組み込んだまま使う場合はGUIを使うことはないと思いますので、アンインストールします。
これだけで1GB以上空き容量を確保できますのでお勧めです。
アンインストールするにあたり、起動時にConsoleで起動するように設定します。ついでにSSHを有効にしておきます。
raspi-configを起動します。
sudo raspi-config
再起動するか確認されるので”Yes”を選択し、再起動します。
再起動後、使用しないパッケージをアンインストールします。
GUI関連のパッケージをアンインストールしています。
こうすることでmicroSDの空き容量を増やせますし、apt upgrade
で更新の際に更新するパッケージの数を減らすことができます。
sudo apt purge libreoffice-* youtube-* sonic-pi thunderbird mincraft-pi scratch sudo apt autoremove
完全にGUIを無効にする場合はさらにパッケージを削除します。
sudo apt purge mate-* ubuntu-mate-* account-plugin-* gnome-* network-manager brltty brasero dvd+rw-tools firefox vlc* rhythmbox sudo apt autoremove
ここまでの作業が完了したら再起動し、再びきちんと起動することを確認しておいてください。
Ubuntuマシンでの操作に移るのでシャットダウンします。
sudo poweroff
PCでのセットアップ
シャットダウン後、microSDを取り外してUbuntuマシンに差し込みます。
先ほどとは異なり、今回はmicroSDのデータを読み込みます。
cd ~/ sudo dd if=/dev/mmcblk0 of=ubuntu.img
ディスクイメージをマウントします。
sudo kpartx -a ~/ubuntu.img sudo mount /dev/mapper/loop0p2 /mnt/
マウントしたイメージを編集します。
cd /mnt/home/ubuntu rm .sudo_as_admin_successful rm .bash_history && touch .bash_history rm .viminfo rm .lesshst cd /mnt/etc sudo rm -rf NetworkManager
ついでにログファイルもきれいに消しておきます。
sudo find /mnt/var/log/ -type f -name \* -exec cp -f /dev/null {} \;
ディスクイメージの圧縮時に圧縮率が高まるように、未使用領域をゼロ埋めします。
sudo dd if=/dev/zero of=/mnt/dummy bs=4096 sudo rm /mnt/dummy
ゼロ埋めした/mnt/dummy
を削除したらアンマウントして圧縮します。
cd ~/ sudo umount /mnt sudo kpartx -d /dev/loop0 xz -vk ubuntu.img ubuntu-mate-16.04.2-desktop-armhf-raspberry-pi-no-gui-20170806.img.xz
以上でイメージファイルの準備は完了です。
作成したイメージファイル
今回作成したイメージを以下に公開しておきます。
ユーザ名、パスワードはどちらも”ubuntu”です。必要に応じて変更してください。
ある程度の動作確認はすませてありますが、すべてについて検証できているわけではありません。
不具合が出ても対処できる環境で先にテストしてからの使用をお願いします。
初期設定済み版
https://github.com/Tiryoh/UbuntuMATE_image/releases/download/v0.3/ubuntu-mate-16.04.2-desktop-armhf-raspberry-pi-configured-20170807.img.xz
File size : 1018MB
MD5 hash : f9866e712fef03280c1e98ecbcc9bf92
ライセンス表記
- Ubuntu MATE 16.04.3
- https://ubuntu-mate.org/
- GPLv3 License
初期設定済み+GUI削除版
https://github.com/Tiryoh/UbuntuMATE_image/releases/download/v0.3/ubuntu-mate-16.04.2-desktop-armhf-raspberry-pi-configured-nogui-20170806.img.xz
File size : 806MB
MD5 hash : 41c2a68d9fd3052a2350667b2c70f1ef
ライセンス表記
- Ubuntu MATE 16.04.3
- https://ubuntu-mate.org/
- GPLv3 License
初期設定済み+GUI削除+ROS Kineticインストール版
https://github.com/Tiryoh/UbuntuMATE_image/releases/download/v0.3/ubuntu-mate-16.04.2-desktop-armhf-raspberry-pi-configured-nogui-ros-20170806.img.xz
File size : 910MB
MD5 hash : 461d624b427f9a9c7333024ee625bfa2
ライセンス表記
- Ubuntu MATE 16.04.3
- https://ubuntu-mate.org/
- GPLv3 License
- ROS Kinetic
- http://www.ros.org/
- BSD License
まとめ
microSDにそのまま書き込めばすぐにRaspberry Pi 3上でUbuntuが使えるようになるイメージデータの作成方法を紹介しました。
また、紹介した方法で作成したイメージデータを公開しています。
参考サイト
- Comment #31 : Bug #1652270 : Bugs : linux-raspi2 package : Ubuntuhttps://bugs.launchpad.net/ubuntu/+source/linux-raspi2/+bug/1652270/comments/31
- Raspberry Pi のバックアップ | えぼのブログhttp://evo.check.jp/pc/raspberrypi/backup.html
- [RaspberryPi]ディスクイメージを縮小する | BYLOMEDIAhttp://blog.bylo.jp/develop/2014/04/643/
- sstea備忘録 : Raspberry Pi のディスクイメージをバックアップするhttp://sstea.blog.jp/raspi/backup_image.html
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